2020年2月7日金曜日

コロナウイルスに関するupdate


医療機関
1.日経メディカル新型肺炎から医療スタッフを守る3つのこと
 2.「地域の医療機関での話し合いと中国の方に受診方法をわかりやすく」
3.「新型インフルエンザの教訓から学ぶ新型コロナウイルス関連肺炎の診療体制」
4.新型肺炎、次のシナリオは 日本社会が今準備すべきこと
5「新型コロナウイルス:医療従事者の万が一を補償する労災補償制度」(1/28)
6「医療機関での患者同士の感染を防ぎ、通常の医療を維持する体制を」(1/29)
7「新型コロナウイルス対策:そろそろ、医療機関で『まん延期』の話をしよう」(2/3)
8.新型コロナウイルス水際対策はこのままでいいのか、いつまでやるのか」和田耕冶(2/5)
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=13988


企業向け
1.「産業医のための新型コロナウイルス関連肺炎対策」
2.新型肺炎、次のシナリオは 日本社会が今準備すべきこと
3「産業医のための新型コロナウイルス対策:春節で中国から戻った労働者の感染対策の考え方」
4.「新型コロナウイルス:産業医のための一般職場における感染リスク対策」(1/30)
5.「産業医のための、外国人を含む不特定多数と接する一般企業の感染対策」和田耕冶(2/4)
6.「産業医のための新型コロナウイルス対策:一般企業でも『まん延期』の話をしよう」(2/6)

そのほか
1.「クルーズ船や施設に停留されている方の健康を考える」(2/6)

2020年1月30日木曜日

コロナウイルスに関する発信



1.日経メディカル新型肺炎から医療スタッフを守る3つのこと
 2.「地域の医療機関での話し合いと中国の方に受診方法をわかりやすく」
3.「新型インフルエンザの教訓から学ぶ新型コロナウイルス関連肺炎の診療体制」
4.「産業医のための新型コロナウイルス関連肺炎対策」
5.新型肺炎、次のシナリオは 日本社会が今準備すべきこと
6「産業医のための新型コロナウイルス対策:春節で中国から戻った労働者の感染対策の考え方」
7「新型コロナウイルス:医療従事者の万が一を補償する労災補償制度」(1/28)
8「医療機関での患者同士の感染を防ぎ、通常の医療を維持する体制を」(1/29)
9.「新型コロナウイルス:産業医のための一般職場における感染リスク対策」(1/30)

2016年4月7日木曜日

40代からの健康管理2.0~次の約40年を 自分らしく生き抜くために~ 第1回なぜ健康管理2.0が必要なのか?

「安全と健康」2016年4月に掲載されています

40代からの健康管理2.0~次の約40年を 自分らしく生き抜くために~

国立研究開発法人国立国際医療研究センター
医師 和田 耕治

第1回
 なぜ健康管理2.0が必要なのか?


連載にあたって
 皆さんは、自分が何歳まで生きると思いますか。80歳ですか? 90歳ですか? 100歳ですか?
 皆さんは、「早く死んだら困る」と思って生命保険に入っていますか? それとも、「長く生きたらどうしよう」と思って老後資金をいくら貯めたらいいのか心配していますか?
 確率的には、「長く生きる」ことを想定する必要があります。長く生きれば、体と心には加齢の影響はもちろんでますし、さらに自分を取り巻くさまざまな環境の変化と戦わなければなりません。
これから9回の連載予定で、私と同年代である40代の皆さんに、「健康管理2.0」として次の約40年を自分らしく生き抜くための「新しい健康管理」を紹介します。もちろん、これから40代を迎える人には予習として、また、すでに40代を過ぎた人にも今の自分の状況と重ね合わせてもらうために、ぜひ読んでいただきたいと思っています。
健康管理2.0のように、最近は従来のものを「〇〇1.0」とした場合に、連続しながらもグレードアップしたり、質が異なったりするものを「○○2.0」と呼ぶことがよくあります。
この連載では、健康管理2.0として少し違った取り組みを紹介していきます。食事に気をつけましょう、タバコをやめましょうなどという話はいまさら取り上げません。
この連載は正直なところ、万人に好かれる内容のものではないでしょう。なぜなら、できれば目を背けたい事実も多いので…。しかし、世にあまたある雑誌の中から「安全と健康」という雑誌を手に取り、私の執筆したものにまで目が届くような、健康意識の極めて高いという少数派の「あなた」には、きっと納得をいただけると信じています。
 では、早速本題に入っていくことにしよう。

日本人の寿命は確実に延びている
 これからの約40年、日本社会の将来の見通しにはっきり言って明るい話などあまりない。私だって、これからの約40年間に起ころうとしている高齢化や社会保障費の増大はできれば他人事であって、自分だけは大丈夫だと思いたいぐらいである。しかし、そんななかでもわれわれ日本人の寿命は着実に延びている。
 65歳時の平均余命というものがある。これは65歳の時点で、その後平均でどのくらい生きるかという指標である。2010年には男性で19年、女性で24年だった。2060年には男性で22年、女性で28年と、今から約50年後にはさらに伸びると予測されている。今の時点で、65歳の男性は84歳、女性では89歳までは平均的に生きると思ったほうがよいだろう。だったら、私たち40代はそれよりももう少し平均余命が長くなりそうである。
 団塊の世代である自分の母に、「あなたたちの年齢の女性は、100歳まで生きることを想定したプランが必要だ」と言うと、「そんな100歳まで生きるなんて。はっ、はっ、はっ」なんていう返事が返ってくる。しかし現実には、その母は義理の母(私の祖母)を106歳まで介護したのに、である。
表は、2014年の日本人の生命表をもとに、それぞれの年齢まで生存する者の割合を示したものである。比較のために、1975年、1990年も掲載する。今や男性でも4人に1人が90歳まで生き、女性は2人に1人が90歳まで生きる時代である。この事実は、我々にとって大事なポイントである。
改めてお聞きします。あなたは自分が何歳まで生きると思いますか?もしくは、生かされると思いますか?この事実によって皆さんのライフプランにおける認識も変わってきたのではないでしょうか?

健康寿命も認識する
 健康寿命とは、日常生活に制限がない状態で日常生活を送れる期間である。2013年のデータでは男性の平均寿命が80歳であるのに対して健康寿命は71歳、女性の平均寿命が87歳であるのに対して健康寿命は74歳だった。平均寿命と健康寿命の差は男性で9年、女性で12年である。
 日常生活に制限がでる原因としては、加齢、病気、そして環境面の変化が影響する。健康寿命をいかに伸ばすかが、個人のライフにとっても、医療介護に関わる費用を増やさないという意味で国にとっても重要である。当然、健康寿命を延ばすためには、体を適度に動かしたり、食事を取り過ぎないようにしたり、ストレスをためないようにしたり、することが重要であることは間違いない。
 健康管理2.0では、自分の寿命の可能性、そして健康寿命を伸ばすことも、40代から
きちんと認識することを薦める。
次回は、そうは言っても若く死ぬ可能性が心配な方にその可能性について詳しく解説する。

1. 特定の年齢まで生存する者の割合(%)
 
男性
女性
 
40
65
75
90
95
40
65
75
90
95
2014
98
88
74
24
9
99
94
87
48
24
1990
97
83
63
12
3
98
91
80
26
9
1975
95
77
51
5
1
97
86
68
12
3

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life14/dl/life14-15.pdfより作成

2014年12月4日木曜日

エボラウイルス感染症の患者(疑いも含む)に対する個人防護具について知っておきたい7つのポイント



エボラウイルス感染症の患者(疑いも含む)に対する個人防護具について知っておきたい7つのポイント

フィットテスト研究会(20141120日)

エボラウイルス感染症対策において個人防護具(以下、防護具)は一つの有効な手段です。しかしながら、患者の体液への曝露の機会を減らす、曝露されうる人を管理する(医療従事者の配置、発熱の確認など)をするといった対策を重ね合わせることにより最終的に医療従事者を守ることになります。
20141120日にフィットテスト研究会にて防護具について議論を行い、現場の経験などをもとに、エボラウイルス感染症対策に関わる人が知っておきたいポイントを7つにまとめました。すべてを網羅している訳ではないですが優先度の高いものをできるだけ簡便にまとめました。
なお、ここでは防護具のみについて取り上げましたが、医療従事者を守る取り組みが不可欠であり、院長を含めた管理者と担当者が一丸となって準備、そして対応を行うことが求められます。

【1.適正な防護具の選択と確保】
・防護具には様々な種類とサイズがあります。まずはエボラウイルス感染症対策に適合した規格であるかを確認します。WHOPersonal protective equipment in the context of Filovirus disease outbreak responseにて防護具の着用を示しています。
防護具も様々なものがありますが、基準についても以下に示しています。多くの国内のメーカーさんは概ね以下の基準に合致した製品を取り扱っていますが、購入の際には確認してください。
・装着ならびに、試着しての簡単な作業(最低5分程度、できれば1時間)、そして脱着するなどして体型や快適性などを考慮してサイズも複数そろえます。動作によりずれたり、不快感がある場合には遠慮せずに申し出て他の防護具を試します。管理者と本人はどの防護具が個人に合っていたかを記録をとり、在庫も得ます。
・防護具は患者が発生した際に多くの枚数を必要とします。当面の間、エボラウイルス感染症の流行が続く恐れがありますし、今後のためにもある程度の予算を確保して備蓄します。また今後は定期的に備蓄分を用いてトレーニングを行います。
・暑熱対策が課題となりますがクールベストは室内作業であることと、効果にも制限があるため使われることは少ないと考えられます。

【2.防護具の装脱着のトレーニング】
・診療に関わる可能性のある人を対象に防護具の装着と脱着ならびに曝露をできるだけ避ける診療などのトレーニングを開催します。また第一種感染症指定医療機関では採血や吸入などの手技も含めてトレーニングします。
・突発的に疑い患者がどこの医療機関でも来る可能性はあるので患者を入院させる医療機関でなくとも、搬送までの間の対応のトレーニングを行います。また、医療従事者だけでなく、自治体関係者や救急等のエボラウイルス感染症に関わる人も含めます。
1度だけでなく、複数回トレーニングを行うなどして安心して作業ができる、慣れるといったことが重要です。ある第一種感染症指定医療機関では担当者はセルフトレーニングも含めて5回のトレーニングを行っています。その中で議論も行い、納得の得られるまで共に検討します。
・診療に関わる医療従事者は当然ながら不安を感じるため個別の面談などを行い、不安が強い場合には別の医療従事者を考慮します。
・感染「疑い」の患者への対応、発熱だけの確定患者への対応、嘔吐をしている確定患者への対応など曝露のリスクは異なります。当然ながら、必要とする防護具は異なり、リスクが低ければ防護具を軽減できる場面もあります。どのように軽減するかを判断することは難しく、それぞれの医療機関で議論を行い決めることになります。
・対策が自施設で十分にできない施設では、地域の基幹病院等と連携を行い積極的にトレーニングの場を持つようにします。

装脱着のトレーニングに役立つサイトの例
1)独立行政法人国立国際医療研究センター

2)CDC. Comprehensive PPE Training


【3.装着の際の留意点】
・装着の手順をわかりやすく掲示し、その通りに行います。最初に必要な防護具を手元にそろえて確認します。
・手順については、独立行政法人国立国際医療研究センター、CDCWHO(前述)などが示しています。それぞれ若干の違いはありますが、最終的にはそれぞれの医療機関で手順を決める必要があります。試行錯誤して協議することが重要です。
・男性はひげをそります。女性は化粧を控え、髪の毛が顔にかからないようにまとめます。
・装着の際は、必ず感染管理の専門家と11の綿密な指導のもと装着します。
・装着すると誰かを特定するのは難しいので職種と名前などを防護具の見えやすいところ(胸や背中)に書きます。
・汚染地域に入る前には必ず感染管理の専門家により皮膚の露出部分がないことなどを確認します。
・脱ぐことを想定してひもなどの結ぶ場所などをわかりやすくします。
・ガムテープで袖口を留めるとはずす際に曝露の可能性があるため行わない。

【4.診療の際の留意点】
・診療においては患者と不必要な接触を避けます。
・防護具を装着しての診療は動きにくく、視野もせまいため普段よりもゆっくりと余裕をもって行います。
・シフトを組み、1から2時間後には防護具を脱着した状態で休憩がとれるような体制が必要です。事前にどのくらいの時間対応するかを決めます。
・職員が感染の不安を感じた場合には直ちに休憩に入れるように配慮します。
・無意識にでも手を顔の近くにもっていかないように集中する、ならびに第3者により管理します。たとえば、汗をぬぐう、おちてきた髪の毛をなおす、ずれたメガネをなおす、かゆいところをかくなどは絶対に行いません。こうしたことを避けるためにも訓練の際には着脱だけではなく診療のシミュレーションも行います。また、不必要な汚染箇所を触れないように手を胸の前で組むなどして待機します。これらは手術室では従来から求められていることでトレーニングにより可能になります。
・防護具を着用すると暑いので空調などで温度管理も行います。暑さや汗で保護具のなかでかゆみが起きたりして無意識にふれる可能性があります。
・手袋を二重に装着すると手が普段よりも動かしにくいため、検体採取時の針刺しなどにも留意します。
・防護具を着用すると患者からの見た目が悪く、不安を助長します。使用の理由や必要性を説明し、不安が軽減されるようにします。

【5.緊急時の対応】
・患者の体液に粘膜や皮膚が曝露された場合には直ちに業務を中止し、その場か離れます。
・曝露を担当者に必ず報告し、対応を検討します。なお、事前に体液への曝露をされた場合の対応を検討します。
・明らかな曝露があった職員については、当面泊まれる場所を院内などに確保することが必要です。

【6.脱着の際の留意点】
・脱着の際に特に曝露される可能性が高いことに留意します。
・脱着も、装着時と同様で手順を提示し、感染管理の専門家の11の指導のもと確認しながら脱ぎます。不潔区域と清潔区域のエリアを設け、着衣により環境を汚染しないようにします。ゴミ箱や椅子など脱着に必要な物品は事前にそろえます。
・ゆっくりと清潔か不潔を意識して頻回の手指消毒を行います。汚染されている部位を直接触れないように裏返しながら脱ぎ、ただちに廃棄ボックスに入れます。廃棄ボックスは大きめのものを準備し、こまめに新しいものを持ってきます。
・脱着後に念のためシャワーを浴びれるように配慮します。

【7.廃棄の際に留意点】
・脱着した防護具は速やかにビニール袋に入れ密閉します。その後、感染性医療廃棄物の容器に入れ廃棄業者へ出します。また、院内で非感染性の処理ができれば処理してから業者に出しますが難しい医療機関が多いでしょう。
・廃棄業者の担当者にも不安が生じます。教育やコミュニケーションにより方策を共に考えます。必要に応じて契約も確認します。

本知見は20141120日現在のもので、今後の新たな知見によりさらに改定を行う可能性があります。

問い合わせ先・コメント
和田耕治(kwada-sgy@umin.ac.jp