2013年4月10日水曜日

職場における風疹対策(2013年4月10日版)




I.なぜいま大人の風疹なのか?
・風疹はウイルスによる感染症ですが、予防接種で十分に予防できることから最近では感染者も少なくなっていた
・今年に入ってから特に20歳から40歳の男性の間に風疹が流行している。感染者全体の80%が成人男性。この世代はちょうど子供の時に予防接種の副反応などにより一時混乱していた時代があり、風疹の予防接種をうける機会がなかった人がいる。
・この年代の男性には抗体を持っていないひとが100人に15(15%)います。
 特に35-39歳では20%以上が抗体をもっていない。
感染予防のためには2回の予防接種が必要とされているが、この中には一回しか予防接種をしていないために抗体が十分にないひともいるし、風疹に感染したと思っていたが実は他の病気だったという方が含まれる。
・感染すると、職場や客先、そして満員電車などで他の人にうつす可能性がある。
・最も恐れるべきは、女性が感染する。特に妊娠している女性が感染すること。妊娠20週までに風疹に感染すると、おなかの赤ちゃんに、一生残る重篤な障がい(難聴・視力障がい・心臓奇形など)が起こりうる。特に妊娠に気づきにくい初期に感染すると高率に障がいが起こる(先天性風疹症候群)。
・職場にも女性がいるのでその方々に感染させてしまうことを絶対に避けなければならない。すでに先天性風疹症候群としてうまれた赤ちゃんが8人(平成2410月から平成253月末)おり、さらに増えることが危惧されている。
・この風疹は5月の大型連休から夏にかけて、近年まれにみる流行がさらに拡がる見込み。そして、これまで話題になっていた首都圏だけではく、全国的にも広がる可能性がある。

II. 風疹はどんな病気か?
・風疹は感染した人からのせきやくしゃみ、そして手についた風疹ウイルスか
らうつる。感染力はインフルエンザの5倍とも言われており、1人いただけでも職場にとって大きな脅威となる。
・症状は、感染してから2-3週間の潜伏期間の後に発熱・顔から全身にひろがる赤い点状の発疹・首の後ろ側のリンパ節の腫れがあらわれる。
・特効薬はない。
・発疹の出る1週間前から感染力があり、発疹が出た後も約1週間は感染力がある。風疹とわかったら他人への感染を防ぐために絶対に出歩いてはいけない。

III.いま働く人に求められること
2つの行動により、あなた自身を風疹から守り、職場の集団感染を防ぐ。そして、先天性風疹症候群で生まれてくる赤ちゃんを減らすことができる。

1)風疹かもと思ったら「絶対に職場に来ない、来させない」
自分が風疹かもと気づく症状は全身の点状の発疹。
その前に38度から39度の発熱や頭痛、倦怠感などがありますが風疹以外との鑑別は難しい。しかし、流行している地域でそのような症状があればもしかして風疹かもと思う!
いずれにしても発熱していれば職場に来ないということを徹底することは普段の職場の感染対策として必須。
体に発疹などがでた場合には外には出歩かず、電話で病院に風疹の可能性を伝えて受診を。
風疹と診断されたら体の発疹がなくなるまで(約1週間かかる)は、絶対に職場に行ってはならない。主治医と十分に相談を。

2)風疹の予防接種を受けます
20-40代の男性は風疹の予防接種が勧められる。
特に、妻が妊娠する可能性があれば強く勧められる。
10代後半から40代の女性(特に、今後妊娠する希望のある者又は妊娠する可能性の高い方)も予防接種を受けておくと妊娠したときに安心。

ただし、病原性を弱めたウイルスが入っている生ワクチンというタイプのためワクチン接種後2ヶ月間は妊娠をさけなければならないので注意が必要。すでに妊娠している方は風疹のワクチンを受けることができない。

なお、予防接種は正確にはまず風疹の抗体を測定してからということが正しいが、採血の手間、コストなどもかかる。なによりも抗体があった場合に接種をしても副反応がでるわけではないので、予防接種をすることを優先する。

・予防接種は内科や小児科で「麻疹・風疹混合ワクチンを受けたい」と相談すると、8000円から10000円程度で受けられる。事前に電話などをして確認しての受診を勧める。
・費用の補助をしている市町村もあり、無料から自己負担の軽減まで様々。しかし、補助がないからといって控えたり、しばらく待ったりすることは得策ではない。
・課題となりうるのは、予防接種によりごくまれに副反応がでることがあるこ
と。そのため職場としては情報提供を行うということになる。なお、強制に接種するというのはできずあくまで自己判断にゆだねることになる。

IV.妊婦さんに対して
職場や家族に妊婦さんがいた場合には特に配慮が必要。風疹の予防接種歴や抗体価が十分であればいいが、それを職場として妊婦さんに確認することも考慮に値する(妊婦さんは初期に抗体検査をしている)。
・予防接種歴が確認できない、抗体価が十分でない場合で、地域で流行している場合には、不特定多数の人と接するような機会を減らすこともリスクを下げることになりえる。妊婦さん自身もできるだけ人混みの多いところに行かないなども考慮する。
・妊婦さんが近くにいる場合妊婦の夫、子ども及びその他の同居家族(50歳以上においても)は風疹予防接種の検討が求められる。

V.おわりに
・地域の風疹の流行に関する情報を集め、流行した場合には特に上記の対策が必要。

国立感染症研究所 感染症情報センター.風疹の発生動向.都道府県別のデータもあり(速報グラフより)。

来年以降も流行する可能性が高いので、今年のうちに対策をきちんとしておきたい。
・また、風疹に限らず職場の感染症対策の危機管理として、発熱などの症状があった際にはお互いに仕事を協力して助け合い安心して休めるような組織作りが重要であることは言うまでもない。

2013年3月20日水曜日

サイト上の記事



最近のサイト上の記事

Gooヘルスケア

職場に救急車を呼ぼう
http://health.goo.ne.jp/column/healthy/h002/0178.html

管理職専門職の早死に
http://health.goo.ne.jp/column/healthy/h002/0183.html

病気後の復職について
http://health.goo.ne.jp/column/healthy/h002/0190.html

厚生労働省のビデオ (監修)
高齢者施設のインフルエンザ対策

http://www.youtube.com/watch?v=9od7v-dtjfI

2013年3月6日水曜日

新型インフルエンザ等対策特別措置法のためのツール2つ



都道府県・市町村担当者を対象とした新型インフルエンザ等対策特別措置法に対応するための医学的・公衆衛生学的知識

医療従事者向けインフルエンザに対する公衆衛生対策エビデンスの解説

を厚生労働科学研究費補助金で作成しました。ビデオと、PPTファイルなどが入手できます。ご参考まで。

2013年3月4日月曜日

職場での対策に必要なPM2.5の知識



職場での対策に必要なPM2.5の知識

最低限の知識
・職場におけるPM2.5対策は、健康な人も含めて濃度の高い際に行う対策と、呼吸器や循環器の持病のある人が特に心がける対策がある。
・濃度については報道などで確認をし、高い日はできるだけ外出を控える。
・追加の対策としては、マスクを装着する、空気清浄機を用いる、といったことがあげられる。どれも一つだけに過信せず様々なことを複合的に行う。
・持病のある人は対策を強化する必要がある。症状(呼吸苦、胸が痛いなど)がもしでた場合には通常通り医療機関を受診する。
・いろいろと過剰な宣伝をしているグッズなども見られるので購入の際には効果などをよく検討する。
・喫煙をしない、タバコのけむりを吸わないことも実は大事な対策。(もともと様々な有害な粉じんが大量に含まれている)

PM2.5とは
PM2.5は、大気中に漂う粒径2.5μm1μm=0.001mm)以下の小さな粒子。
・従来から環境基準が定められてきた粒径10μm以下の粒子である浮遊粒子状物質(SPM)よりも小さな粒子。
PM2.5は粒径が非常に小さいため(髪の毛の太さの1/30程度)、肺の奥深くまで入りやすく、呼吸器や循環器疾患を起こす。これまでの研究では、短期的な影響として喘息患者の発作や咳などの症状が悪化や、心疾患や肺疾患で入院する患者が多くなるという報告がある。

PM2.5の濃度を確認する
PM2.5の濃度が特に西日本など濃度が高くなるような地域では測定や予測が今後される。そうした情報を得て、警報などがでている時には次に示す対策を行う
・例:環境省のそらまめ君というサイト http://soramame.taiki.go.jp/

PM2.5の濃度が高い時の対策
PM2.5の基準は1日平均値で35μg/m3以下が健康の適切な保護を図るために維持されることが望ましいとされた。また、環境省は暫定ガイドラインとしてその倍の70μg/m3
を超える場合には外出を控えるように警告するとした。
・濃度が高い時の対策として優先すべきことは、できるだけ外出を控える、野外での運動は控える。
・健康な人も必要だが、特に呼吸器疾患(例:喘息やCOPD)や心疾患(心不全、心筋梗塞の既往、バイパス手術後など)を持病として持っている方は特に注意を。濃度が高い時には窓をできるだけ開けない。
・空気清浄機を用いることも検討に値する。注意が必要なのはオゾンを発生させる機能があるものは室内のオゾン濃度も高めるため避ける。空気清浄機も対策の一つに過ぎない。窓を閉め切ったりしたとしても外気は至る所から侵入するため。
・オフィスの中はビル管理法によってPM2.5も含む粒径の浮遊粉じんは0.15mg/m3以下と定められている。空気の取り入れる量やフィルターなどについてもビルによって異なる。

N95マスクや防じんマスクDS2といった高機能のマスクの着用が推奨されているがいろいろと課題がある。
・これらの高機能マスクは、産業現場の粉じん作業や医療従事者が使うことが想定されている。装着が難しく、顔とマスクの間に隙間ができると期待される効果が得られない。
・本来はフィットテストという方法で顔に合うか確認が必要だが、一般の方ができる場はほとんどない。また装着すると呼吸がしづらくなり長時間使うことが難しく、持病のあるような方は特に装着することが難しいので実践的ではない。
・いろいろな状況を想定して企業として自主的な準備をするということであれば選択肢としてあげられます。なお、粗悪なものや、過度な宣伝をするようなものもでているので注意を。
・装着方法のビデオ http://www.youtube.com/watch?v=lGt_qDiD96s

・花粉症対策としても用いられる不織布製マスク(サージカルマスク)は、残念ながら粒子のサイズが小さいこともあり顔とマスクの間から吸い込んでしまいますのでないよりは良いかもしれませんが、過信をしてはいけない。

喫煙しない(もともと有害な化学物質と粉じんを吸うことになる。)
・部屋の掃除も重要
・夏場は部屋が暑くなるので注意が必要。さらに濃度が高くない時は換気などをすることは通常通りする

PM2.5にばく露されることでおこりうる症状 
・健康な人であっても、PM2.5の高い濃度にばく露されると目、鼻、のどの刺激症状、咳、痰、息切れなどを感じることがある。そうした際には空気質の良い場所に移動する。
・喘息やCOPDのある方は、もし呼吸がいつものように深くできなかったり、咳、痰、疲労感などを感じることがある。普段からの治療により最善の状態を保つことが重要。症状が続いたり悪化した際には医療機関を受診する
・心疾患のある方は、注意が必要。もし、胸部の圧迫感や痛み、冷や汗、呼吸苦などがあれば通常通りすぐに受診する。

コメント(医療従事者向け)
・「小さなリスクを大きくみる、大きなリスクは小さく見る」という傾向が背景にあるように思われる。どの程度の死亡者や入院者が増えるかは不明であるが、受動喫煙対策などもっと普段から力を入れる分野がたくさんあるはず。
・自然災害よりも人的災害の方が心情的に大きな影響があるが、中国から人的災害のような感じで被害を受けているという認識からやや過剰に反応されている傾向もあるように思われる。
・バランスのよいリスク認知と対策をどのように行うかが今回も対策として重要。

2013年2月12日火曜日

PM2.5対策としての防じんマスクの教育用ビデオ




PM2.5対策としてN95マスク・防じんマスクDS2
話題となっているようです。

北京に行く方以外にも今後3から4月の黄砂により
日本でも(特に九州?)で特に呼吸器系疾患のある方に
もこうしたマスクが必要となる可能性もあるのでしょうか?

防じんマスクの教育用ビデオとしててフィットテスト研究会で作成したものが
ございます。

第三章)マスクをどのように装着するか 自衛隊中央病院 栄留富美子

が出張者などの教育に役にたつような気がしております。

感染対策と被災地でのほこり対策でしたらこちらにあります。

なにかのご参考になればと思いました。

2013年1月27日日曜日

これまで監修や出演したビデオなどのリンク



1.マスクの基礎知識(粉じん対策)
http://www.youtube.com/watch?v=opZqx-AwGUg

2.中長期的支援に向けた公衆衛生上の課題
http://www.youtube.com/watch?v=mdabHsgGl1w
 
3.人権シンポジウム
http://www.youtube.com/watch?v=4e8dInbuuus

4.厚生労働省

インフルエンザ一問一答 みんなで知って、みんなで注意!(監修)

http://www.youtube.com/watch?v=nPb2uXcSngw

5.厚生労働省
患者同士の感染を防ぐ(監修と出演)
http://www.youtube.com/watch?v=30oaBJz7nnc

医療従事者のための産業保健のリンク集



医療従事者のための産業保健を行うためのリンク集をこれから作成します。

Ⅰ.産業保健のための体制づくり


Ⅱ.心理・社会的要因
患者からの暴力

職員間のハラスメント

ンタルヘルス関連疾患の医療従事者への対応
 
交代勤務(夜勤等)に伴う健康管理のポイント

・過重労働対策の進め方

 ・ワークライフバランス

Ⅲ.生物学的要因

針刺し・体液曝露に関する基本知識と罹患防止対策

・呼吸器感染症の予防対策 保護具


・ インフルエンザ対策



・結核対策

・ ノロウイルス対策

・ 小児科関連疾患


・ 医療従事者に必要な予防接種
 
Ⅳ.化学的要因

エチレンオキシド

・病理や解剖で用いる化学物質
 
 ・グルタルアルデヒド

・ラテックスアレルギー

・抗がん剤

Ⅷ.その他の要因

・腰痛

・放射線